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SaaS Marketing Lab

デジタルマーケティング関連のSaaSにてマーケティングとか戦略とかいろいろしています。SaaSマーケティングについていろいろと分析するブログです。

ドコモ系のWeb接客ツール、広告で急拡大中

■接客ツールの躍進

近年、次々にデジタルマーケティングツールがローンチされているが、その中で「Web接客ツール」というツールが有る。通常のWebサイトでは1:Nの関係で複数の人に同じ情報を提供することになる。しかしベストなのはリアル店舗での接客と同じく、お客様の要望や行動から適切なご提案ができることが望ましい。そんなことがWeb上でもできるようにしているのが「Web接客ツール」である。
 
例えば同じ商品を何回も見ている人がなかなか購入には至らない方だけに、割引クーポンを提示するということができる。単純にツールがなくてもクーポンは付与できるが、その場合、全員に提供してしまうことになり利益率が下がってしまう。しかし特定の人だけにクーポン発行するのであれば、そのようなことにはならず効率的に売上をあげることができる。
 
 

■ecコンシェルの急拡大

特にECサイトでは有効で2016年はよくよく聞くキーワードとなった。そんな接客ツールは多数あるのだが、最近利用企業が増えていると思われるのが、ドコモの提供する「ecコンシェル」だ。
 
下記はSimilarWebにて調べたサイトへのセッション数の推移である。
※注意点として、管理画面と製品サイトへのアクセスが合算されている企業とそうでない企業がある。そのため数字が多い少ないで比較分析するのは適切ではなく、各社の傾向値をみるべきである。

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こちらをみると、ドコモのecコンシェルが急激に伸びていることがわかる。一方でFlipdeskは落ち込みが激しい。ちなみにFlipdeskはSupershipという会社名でKDDIグループであり、実際はそれぞれは意識していないと思うが、外野から見るとドコモ対KDDIという構図になっている。
 

 

■公開数値からみる利用企業数

実際に各社が公開している利用企業数をが下記である。
 
ecコンシェル 1259社 2017/2/16時
KARTE 1430社 2017/3/12
Flipdesk 350社 2016/4/25
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Karteがまだまだ勝っているが、ecコンシェルは半年で1200社近くを集めている。Flipdeskは古い数字であるが厳しい戦いとなっている。
 

■広告集客で拡大か

まずは下記を見てほしい。ecコンシェルの競合ツール名や接客ツールをgoogleで検索したときのadwordsである。

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ecコンシェルのサイトへの広告誘導はもちろんしているが、実はそれ以外の広告もすべてecコンシェル押しの比較記事や記事型LPとなっている。競合ブランド名キーワードでは、自社サービス名を出稿してもなかなかクリックしてもらえない。しかし比較記事や事例記事への誘導であればクリックはされやすい。また記事内で適切に啓蒙し自社サイトへ誘導できるので、接客ツールに興味を持っている人を誘導しやすい。さらに言うと、料金を見る限りでは唯一、ecコンシェルが無料のため、自然とecコンシェルと流し、登録させやすいようになっている。
 
 
これ以外にも、たくさんの記事広告や広告出稿が見られる。
 
・開始わずか8ヶ月で「ecコンシェル」の登録企業数1,200社を突破 | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」 https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/38128
 
・AIで爆速PDCAを実現。CVRアップにこだわった、ドコモのWeb接客ツール「ecコンシェル」を検証:MarkeZine(マーケジン) http://markezine.jp/article/detail/25788
 
と言った記事広告や

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Facebook広告もある。
ecコンシェルのサイトにはFacebook Custom Audienceタグが入っていることから、ecコンシェルのサイトに訪問した人へのリターゲティングとして利用したり、訪問した人と近しい人に広告配信する類似オーディエンスを利用していると考えられる。
 
Similarwebにて流入を確認してみると、Ligやweb担、emlabからの誘導が多いようだ。

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同じくsimilarwebでの検索流入のオーガニックとペイドを比較すると、40%近くが広告流入である。KARTEで20%なのでほぼ倍である。

 

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このようにecコンシェルは広告での集客を非常に力を入れている。何故ここまで踏み込めるのだろうか。
 

■マジョリティ狙いのドコモ

 

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イノベーター理論でいくと、Karteが接客ツールとしてイノベーターおよびアーリーアダプターを獲得してきた。これにより接客ツールといえばKarteというイメージがある。
このKarteがアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にあるキャズムを超えられるだろうか。デジタルマーケティングにそれほど理解がないアーリーマジョリティ以降にアクセスするには、どうしてもマーケティング費用がかかってしまう。また新しいものに対する及び腰があるため、利用してもらうためのハードルが高い。しかしこのマジョリティ層を獲得することで市場シェアNo1となれるし、また売上も大きくなる。どれだけ先行してイノベーターとアーリーアダプターを獲得しても、マジョリティを抑えられると厳しい戦いとなるのである。
 
このマジョリティ獲得において、ドコモは2つの強みがある。まずドコモというブランド力だ。このブランド力が接客ツールというはやりのキーワードに対するマジョリティがもつ不安感を解消させる。またマジョリティへのアクセスのためのマーケティング費用もドコモにとっては大した額ではない。
 

■接客ツールはKarte VS ecコンシェルの2強時代へ

既に接客ツールはこの2社に絞られたといえるだろう。ではこの2社のどちらが勝つのだろうか。実際の所、どちらかが勝つというより、それぞれが市場をセグメントして競争することになるだろう。Karteはより玄人にも対応できるようなハイエンドな機能を展開しエンタープライズ向けの高機能項価格帯を狙うだろう。一方でecコンシェルは機能面ではKarteには負けるが、それでも十分なミドルレンジを顧客の中心とし、エンタープライズでもそれほど要件が求められないところをKarteから奪うだろう。顧客の数で売上を高めるモデルである。また3番手4番手も独自の機能や小さなニッチセグメント(単品通販特化など)やCMSや他マーケティングツールとの提携および買収(される側)ことで独自のポジションは獲得できるだろう。